凱陣 (有)丸尾本店
四国の香川県琴平町に、幕末の志士「高杉晋作」や「桂小五郎」も飲んだ、という名酒、「凱陣(がいじん)」があります。 「讃岐三白」といわれ、良質の米、塩、綿を産出するなど、恵まれた讃岐地方にあり、庶民信仰のメッカ、金刀比羅宮(こんぴらさん)に隣る榎井にある丸尾本店が醸造元です。 榎井村は、こんぴら門前町とは、また違ったニオイを持っています。格子窓や、黒壁、白壁の商家が点在し、旅籠や昔風の農具屋の店が見受けられます。 ![]() ![]() この蔵は、讃岐に亡命してきた高杉晋作や桂小五郎らと親交が深かった。 日柳燕石(くさなぎえんせき)の陰の資金提供者、長谷川佐太郎の造り酒屋「新吉田屋」を、現社長の祖父が譲り受けました。 家の造りは、江戸時代の商家のままで、からくりを設けた屋敷で有名です。 佐太郎が使っていた七畳半の居間の天井裏は、ちょっとした細工で、縄はしごが降りてきて、数人が隠れられたし、居間の床の間は変哲もないが、押し入れの横に通路があり、ここを通じて床の間の裏に三,四人が隠れられるカラクリが設けてある。 同士達の間で、「梧陽堂」と呼ばれた離れ座敷も存在していて、高杉晋作と愛人おうのも、ここに身を寄せていました。しかし、幕史がやって来た時に、とっさに酒樽に身を隠して難を逃れたなどの、エピソードも残っています。 現在、丸尾本店は、当時の部屋がそのまま残されています。 「凱陣」は香川県米の「大瀬戸」と、弘法大師ゆかりの満濃池の伏流水を利用した、豊醇な旨口タイプの酒質が特徴で、昭和39年より吟醸酒造りに力を入れ、他の酒造メーカーが大幅に機械化を導入した頃、その流れに逆らうかのように、手造りを守り続けている。 「麹のいい悪いが酒造りのポイント。麹が悪ければいくら、もろみの中で管理しても、いい酒は造れない。酒造りは実際目で見て、手で触って、それまでふまえてきた経験を生かし、勘をミックスした作業。 気を抜かず、生き物を扱っているんだという、育てる気持ちがなければ駄目。」と手造りの味を説く。 一口ふくめばこの酒の個性に引き込まれる。 これが名酒「凱陣」です。 |